借金問題や生活困窮…お金の問題で困ったときには、国の借金救済制度の活用がおすすめです。法律に則り手続きされる借金救済措置で、自己破産を含む債務整理(任意整理や個人再生、特定調停)や生活保護、過払い金返還請求なども借金救済制度の一つといえます。

自己破産は、借金自体を減らす、なしにすることを法的な手続きで行う「債務整理」の一種です。生活保護は、借金がある、ないに関わらず、お金に困っている人に「生活保護費」を支給して生活を立て直してもらうためのものです。

とはいえ、それぞれが具体的にどういった制度なのか詳しく知らないという方もいらっしゃいますよね。

また同時に手続きすることができるのかどうかなども気になるところです。

自己破産と生活保護について、制度詳細やお互いの関係性、注意点や条件などを解説します。

借金を整理する「債務整理」の手続きの一つである自己破産なら、借金をゼロにすることも可能!

自己破産は、増え過ぎた借金を法的に整理するための、債務整理の手続きの一つです。裁判所に破産の申し立てをして免責許可が得られれば、借金はチャラになります。

借金で悩んでいる方の中には「そんなにうまい話があるわけがない」と思う方もいるかもしれません。とはいえ、借金問題で悩む人を放置しても、社会全体にプラスの影響はないでしょう。借金で悩む人を救済するため、また社会全体を安定させるために、自己破産制度は用意されています。

もちろん、自己破産にはデメリットもあります。

  • 手続き後5~10年はブラックリストに登録される
  • 官報に自己破産の事実が掲載される
  • 一定額以上の財産は没収される(99万円より多い現金やマイホームなど)
  • 保証人に負担がかかる

とはいえ、毎月の返済に頭を悩ませている方にとっては、「もう悩まなくても良い」というメリットの方が大きく感じられるでしょう。

自己破産は国民に認められた権利の一つ。支払不能状態に陥っていれば、自己破産手続きをとれる可能性があります。

借金の理由がギャンブルや浪費の場合、免責不許可事由に当てはまるとして、自己破産しても借金がチャラにならない可能性も。専門家に相談しながら、慎重に手続きを進めていくのがおすすめです。

健康で文化的な最低限度の生活を保障するための生活保護

借金という過去の問題を解決するのが自己破産なら、これからの生活を支える制度が生活保護です。

何らかの事情で収入を得られない方や、働いていても生活に十分なお金を確保できない場合に、生活保護費を支給してその生活をサポートしてくれます。

  • 怪我や病気が原因で働けない人
  • 世帯の収入が国が定める最低生活費に満たない人
  • 売却できる財産を持っていない人(家や車など)
  • その他の公的支援制度を受けられない人
  • 生活が困窮しているものの、親族からの援助を受けられない人

これらの条件に当てはまっている人は、生活保護を受給できる可能性があります。まずは自治体の福祉事務所に相談してみましょう。

自己破産と生活保護には深い関わりがある!

ここまで見て来たとおり、自己破産と生活保護はまったく別の手続きです。

とはいえ、借金問題を抱えつつ生活保護を受けようとする方の多くは、自己破産手続きも同時に進めます。

なぜなら、借金を抱えたまま生活保護を受給しても、生活保護費からの借金返済は認められていないからです。

借金が返済されなければ、金融業者側は当然督促をスタート。さまざまな働きかけを無視し続ければ、いずれ財産を差し押さえられてしまうでしょう。

督促をストップさせるためには、債務整理の手続きをスタートするしかありません。

債務整理には自己破産以外にも、任意整理や個人再生といった手続きがあります。ただしこれらは、手続き後の返済を基本としたもの。生活保護費からの返済ができない以上、返済義務がチャラになる自己破産を選ばざるを得ないでしょう。

このような事情から、自己破産と生活保護の両方をほぼ同時期に手続きしようとする方は、決して少なくありません。

自己破産していても問題なく生活保護は受けられますし、自己破産したからといって生活保護が打ち切られるようなこともありませんから、安心してください。

ちなみに、自己破産をしても滞納した税金はチャラになりませんが、生活保護を受給すれば納税する必要がなくなります。3年経過すれば、滞納分についても納税を免除されますので、より生活を立て直しやすくなるでしょう。

【自己破産と生活保護】手続きは生活保護からがおすすめ

自己破産と生活保護の申請をほぼ同時に考えている方にとって、気になるのが「どちらの手続きの方を先に行えば良いのか?」という点です。

制度ルール上、どちらの手続きを先に行ったとしても、問題はありません。ただ金銭的なメリットを重視するなら、生活保護の手続きを先に行うのがおすすめです。

というのも、自己破産手続きが数ヶ月程度かかるのに対して、生活保護は申請から受給決定まで、約2週間とスピーディーに話を進められます。

借金問題はすぐに片付かなくても、とりあえず当面の生活費を確保できれば、精神的に落ち着く方も多いでしょう。自己破産手続きについても、余裕を持って進めやすくなります。

また自己破産手続きを進めるにあたって、法テラスを利用すれば、生活保護受給者ならではのメリットが発生します。

法テラスでは、収入や資産が一定額以下の方を対象に、民事法律扶助業務を行っています。経済的に余裕がない方を対象に、無料法律相談や専門家費用の立替えを実施。これにより、お金の不安を抱えることなく、法律トラブルを解決できます。

立替えてもらった専門家費用は、手続きスタートと共に分割で支払うことに。生活保護受給者の場合、この分割での返済を免除してもらえます。

また生活保護を受給していれば、裁判所に収める予納金なども、20万円を限度に立替えてもらえます。もちろんこちらも、手続き完了後に申請すれば、返済を免除してもらえるでしょう。

つまり生活保護を受けていれば、ほぼ無料で自己破産できるということに。普通に自己破産した場合、30万円~80万円程度かかってしまうケースもありますから、非常に大きなメリットになります。

もしも自己破産手続きの途中で生活保護を受給することになった場合、その段階で返済猶予や免除がスタートします。できるだけ早めに手続きするのがおすすめですよ。

自己破産と生活保護の注意点3つ

自己破産と生活保護の手続きをほぼ同時に進めていく場合、以下の点に注意してください。3つのポイントを紹介します。

生活保護申請の前に専門家に相談

先ほどもお伝えしたとおり、自己破産手続きの前に生活保護申請を行った方が、経済的なメリットは大きくなります。

しかし実際には、生活保護相談先のケースワーカーに「まず自己破産手続きを進めてください」と指導されるケースが多く見られます。

ケースワーカーがなぜこのように指導するのかというと、生活保護費で借金返済はできないから。返済できないことがわかっている借金を放置して生活保護を受給しても、問題の根本的解決には至らないでしょう。

だからこそ、まずは生活保護と自己破産について、弁護士などの専門家に相談しましょう。ケースワーカーからの指導を見越して、法律的に問題のない、ベストな解決策を探れるはずです。

専門家への相談は「法テラス」利用を前提に

生活保護受給を考えるくらいに生活が困窮している場合、法テラスを利用しない手はありません。ただしこの場合、法テラスと提携している専門家に相談することが重要です。

世の中には数多くの法律事務所がありますが、そのすべてが法テラスと連携しているわけではありません。もし連携していない事務所に依頼してしまえば、費用を立替えてもらうことも、その返済を免除してもらうことも不可能になってしまいます。

法テラスを利用するためには、

  • 法テラスに電話して無料法律相談を利用する
  • 法テラスと連携している専門家を自力で探し、利用の旨を伝えた上で契約する

のいずれかの方法をとってください。

前者であれば、自身の手間を最小限に、手続きをスピーディーに進めていけるでしょう。後者であれば、自分が好きな弁護士事務所を、自分自身で選択できるというメリットがあります。

生活保護申請後はできるだけ早く自己破産手続きを

生活保護を申請したら、できるだけ早く自己破産手続きをスタートしましょう。

なぜなら、生活保護を受給していても、借金の督促は止まらないからです。自己破産の手続きを専門家に依頼すれば、その時点でストップします。

自己破産と生活保護で生活を立て直そう!

借金地獄に悩んでいても、何らかの事情で収入が途絶えてしまった場合でも、自己破産と生活保護の制度を使えば、生活を立て直せる可能性があります。決してあきらめないでください。

両方の制度については、「まだまだよくわからない…」という点も多いはずです。まずは一度、法テラスに相談してみてくださいね。

借金問題に強い専門家につないでもらった上で、適切な解決方法を提案してもらえるでしょう。