図書館の再興
ユネスコからの支援声明
(国際連合教育科学文化機関)
アレクサンドリア図書館の再建を支持して
アレクサンドリアは、アフリカとヨーロッパとアジアの交流の地にあって、科学と哲学と芸術の中心でありました。そして、エジプト、ギリシア、ペルシアやその他の文化を代表する優秀な人々が集り、意見を交わし、相互に契約を結んで利益を甘受できる場所でありました。そうした背景を受け、紀元前4世紀初頭、研究施設と博物館を兼ねた史上初とも言える世界規模の図書館が出現しました。そこでは、あらゆる国々の書物の収集と保存が目指され、また同時に、優れた一流の学者や思想家を招聘したのでした。…… 早い時期から、どの文献もまずギリシア語で書き写され、その中でも重要と見なされたものは他の言語にも翻訳され、次々と蔵書に加えられていったのです。
アレクサンドリアの港に寄港する船はすべて、船内に関心を引くような書物があった場合には、それを書き写すことが求められたのでした。
紀元前1世紀の中頃までには、532,800巻もの手書きの文書を所有するまでとなり、高度な手法で分類されリストが作成されたうえで保管されました。とりわけ目を見張るのは、書物にタイトルをつけ、その著者と作品についての詳細な解説と分析を記した目録、カリマコスの『Pinakes/ピナクス』です。この膨大な図書目録は、長い間ギリシア文学には無くてはならないものでしたが、残念ながら今はもう散逸してしまっています。
古代アレクサンドリアの図書館は、当時の世界をリードする最高知識が集まる中心地のひとつでした。科学・哲学・文学の書物の収集にかけては他に並ぶものはなく、数世紀にわたり多くの著者がこの図書館からインスピレーションを得てきました。
エジプト政府は、このプロジェクト実現のための諸条件を、可能な限り整える努力を重ねてきました。エジプトアラブ共和国大統領の提唱によって、国立アレクサンドリア図書館建設実行委員会が設立され、エジプト政府は、この特別プロジェクトを世界的な規模で推進するため、国際社会全体の関与を計画しています。そこで、ユネスコにも協力要請が行われ、特にこのプロジェクト実現への支援を全世界に向けて訴えることになったのです。
ゆえに、こうして126回実行委員会に私が招かれ、この声明が出されることとなりました。私は次のように訴えたいと思います。アレクサンドリア図書館の再建と整備、コレクションの選定や保存、要員の訓練など、エジプト政府はこれまでに莫大な努力をはらってきました。これに応えるべく、あらゆる国家の政府、国際的政府組織や非政府組織、公的・私的機関、財政援助機関、図書館、古文書保管施設、とりわけすべての国の人々に、寄付や技術援助やさまざまな奉仕活動への参加をお願いします。
また、知識人、芸術家、著作家、歴史家、社会学者をはじめ、情報提供のできるあらゆる方々にお願いします。ジャーナリスト、コラムニスト、出版業界やラジオ・テレビ・映画のメディア業界の専門家といった人々にお力添えを賜り、アレクサンドリア図書館再建プロジェクトのもつ世界的な意義を広く万国の人々に知らしめ、その実現に向けた寄付活動を奨励していただきたいと思います。
また、世界中の出版社には特に、1988年1月1日を皮切りに、各社で出している文学や科学や芸術関連の書籍や刊行物を各々2部づつアレクサンドリア図書館へ献本してくださることができるなら、大いに歓迎したいと存じます。
前途に横たわるこの大事業を支援するために、十分な寄付が寄せられることを心から祈願しております。そして、世界各地にある文書遺産の保護に関心を持ち、それらを広く世界中の研究者や一般の人々が目にすることができるように、ひとりでも多くの方々が、人類の歴史上もっとも名高い研究機関のひとつを再建するという、この熱意あふれる国際的なキャンペーンに参画してくださることを切望いたします。
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アマドゥ・マハタール・ ムボウ事務局長 [パリ, 1987年10月22日]
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